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「大工の神様」魯班

 「大工の神様」魯班 _b0102720_16332647.jpg場所:山東省曲阜市
時代:BC507年~444年

春秋時代に魯国(山東省)曲阜に生まれ、孔子・墨子と同時代に生きた魯班は、「大工の神様」、「工聖」と呼ばれる伝説的な大工であった。
姓は公輸、名は般。魯の国の人であったから、その後魯班という名で呼ばれるようになったそうだ。

魯班は鋸をはじめ様々の道具を造り、鋸やカンナ、錐や墨壺などを作ったと言われている。
著作物として、「魯班吉宅七式」「魯班凶宅十五式」「魯班経」などの建築書があるらしい。

魯班が墨縄を引くとき、片側を押さえるのを手伝っていたのは母親だった。
年老いた母親にいつまでも手伝ってもらうことに心を痛めていた魯班は、老人が釣竿で魚を釣り上げているのをヒントに、釣針を手本に鉄製の鈎を作り母の替わりとしたそうだ。
これから、それを替母と呼ぶようになったといわれている。

風水メジャーというものがあり、別名、魯班尺と呼ばれる。
魯班尺という名称は考案者の魯班からついたといわれている。
風水メジャーの単位には「財、病、離、義、官、劫、害、本」の8つの基本単位があり、門の広さや入り口の大きさの決定の時に使用された。
門の寸法を計った時に、「財、義、官、本」の四字にあたれば吉とし、「病、離、劫、害」にあたれば凶。
風水メジャーは今でも売っている。

「班門弄斧」という成語がある。
これは直訳すると、「魯班の家の前で斧をふるってみせる」ということ。
魯班のような名人の前で、斧の技をひけらかす者がいるだろうか。
すなわち専門家の前で自分の力量を示そうとするのは、謙虚さがなくおかしな行為であるという意味だ。

竹木でつくった鳥が生きているように飛び、3日間落ちなかったと伝えている。
凧の前身は「木鳶」というもので、大工の始祖と言われる魯班が発明したと言われている。
紙などは使わず、木だけでできていたらしい。


墨家という学派の創始者、墨子は貧しい手工業労働者の家に生まれたので、少年時代から大工職人として暮らしを立てた。
墨子の腕前は見事なもので、当時有名な大工職人の魯班と、その技を競い合った物語が後世にまで伝わっているほどである。
楚の王は、魯班の開発した城壁を攀じ登る「高梯子」の性能を試すため、墨子と模擬戦を行わせた。
その結果、墨子は魯班の攻撃をことごとく撃退したという。
この逸話から「墨守」という故事成語が生まれたらしい。

いろいろと伝説に事欠かない人物で、一片の小説が書けそうだ。

いまでも「魯班」という言葉は、「優れた技術を持つ人」の代名詞としても使われており、毎年すぐれた建設工事に送られる賞が、「魯班賞」と呼ばれている。


 「大工の神様」魯班 _b0102720_16333924.jpg
by chinafish | 2005-06-03 16:31 | 中国建築
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