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中国を読む9/100 『蒼穹の昴』 浅田次郎 講談社


蒼穹の昴は結局何だったの?
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清朝末期を描く、エンターテイナー浅田次郎の良く出来た小説。古本屋で文庫版が安く手に入ったのでやっと読みました。

登場人物の多い長編ながら、一気に読ませるのは、「宦官」「科挙」「西太后」「変法派」というこの時代の中国の要素が、きっちりとに描かれ、それぞれのキャラが立っているからだと思います。

西太后、李鴻章、光緒帝、袁世凱といった実在の人物が、定説とは違った個性の持ち主として生き生きと描かれているところが魅力的ではありますが、その分漫画的で深みにかけるかもしれません。西太后の言葉遣いなど好みの分かれるところでしょうし、最後は毛沢東の少年時代までからませたのはサービス過剰ではないでしょうか。

架空の同郷の若者二人が主人公、一人は科挙を経て高官となり、もう一人は宦官となり西太后の側近となります。
私が一番面白く感じたのは、前半の科挙試験の部分ですが、これは宮崎 市定さんの書かれた「科挙」に負うところが多いと感じました。(この「科挙」はさらに面白い必読本と思います)

『蒼穹の昴』というタイトルとストーリーの絡め方が、やや定石的に思えるので、ラストは少々物足りません。蒼穹の昴が本当に意味するものをもう少し書いて欲しかったようにも思います。

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中国でも、「苍穹之昴」というタイトルで翻訳されています。
中国人が読むとどう感じるか知りたく検索しましたが、残念ながら書評らしきものはありませんでした。

台湾では、「慈禧秘史」というタイトルで翻訳されているようです。
「慈禧」は、西太后ですね。
一つだけ書評を見つけましたが、好意的な評価を受けています。
ご参考までに。


by chinafish | 2007-04-09 12:31 | 中国を読む
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