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中国を読む(1/100) 私の紅衛兵時代


陳 凱歌「私の紅衛兵時代-ある映画監督の青春」 講談社現代新書

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今年こそは基礎から中国語をしっかり勉強しようと思い「NHKラジオ講座」を聞き出した。
しかしやはり心惹かれるのは、ストーリー性のある応用編で、基礎の語句勉強はちょっと続ける自信がありません。

応用編は、中国映画の巨匠、陳凱歌の自伝とインタビュー。
講師の刈間先生・錢さんの中国語が心地よく、陳凱歌の流れるような文章と、インタビューの語り口の対比がとても面白いので、こちらのほうは引き続き聞いていけそうだ。
自伝の元になっているのが、「私の紅衛兵時代」という題の新書なので、さっそく古本屋へ捜しに行ったところ、運良く旧版がなんと200円で手に入った。
刈間先生ごめんなさい、でも捜している本が直ぐに見つかるとほんとうに嬉しい。

一読して、これは自伝というより文化大革命を通して描かれた、陳凱歌が映画監督になる以前の「精紳形成史」だと感じた。
陳凱歌は、文革の始まった1966年当時は中学生、望まぬながら紅衛兵として加害者に加わり、その後は雲南へ下放され原始の森で働く。
絶え間ない暴力に翻弄されで次々と友人を失い、そして父親さえも糾弾の対象となるが、雲南の自然の中で人間性を理解し生き抜くことの真の意味を悟る。
正視に堪えない醜悪さが淡々と描かれるゆえに陳凱歌の苦悩がよくわかるし、繊細かつ流れるように語られる映像的な描写は、単なる文革に対する嘆きではない青春の歌を感じさせる。
NHKラジオ講座の文章や語りからは、緩やかな心地よさのほうが強く感じられたが、想像を絶する暴力に対する哀しみがその底流となっていることがよく解る。

隔着烟雾我看到了死去的朋友的脸。―――我重温了我生命。

という第一課の最後の言葉の重みは、緩やかで心地良い生活に浸っているものには理解できず、この本に描かれた激しい運命に翻弄された人間性を見てはじめて理解できるのでしょう。

陳凱歌の「覇王別姫」で背景となる文革の重さは、実体験に基づくがゆえに強く胸を打つものだったと思うし、「北京バイオリン」で描かれた父親への愛は、実の父親に対する陳凱歌の想いを代弁するものだったのかもしれません。


by chinafish | 2007-01-08 08:55 | 中国を読む