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中国を読む(2/100 )西太后


加藤徹「西太后 大清帝国最後の光芒」

西太后に関しては、通り一遍の知識しかなかったので、面白いと評判に聞いていたこの本を読みました。というか間違った知識も結構あったみたいで、西太后の読み方、「せいたいごう」だと思っていましたが、実は「せいたいこう」だったのですね。

内容は、通説に沿ったものではなく、「稀代の悪女」といわれるイメージを覆す評伝で、作者の主張を簡単にまとめると、
1)植民地主義による世界分割競争が激烈に行われる中、47年の長きに渡り広大な清帝国に君臨した西太后は稀に見る傑女である。
2)西太后の治世におこった事柄は、現代中国社会の深層や中国人の特質を知る原点である

こうした主張は、歴史家では無い私には是非を判断することができませんが、西太后の出身地の考察や后妃選びの詳細な手順など、面白い史実がちりばめられていて、楽しくかつ説得力のある内容でした。

確かに、西太后が垂簾聴政によって朝廷に君臨した間(1861~1908年)には、アヘン戦争と南京条約により長らく鎖国を続けていた中華帝国が世界に開かれ、清仏戦争、太平天国の乱、日清戦争、義和団の乱など、大清帝国を崩壊させうる出来事が続けて起こっています。
そうした中で50年近く権力を維持するのは、並大抵の技量では出来ないと思います。

また、毛沢東の文化大革命に盲従した中国の国民性は、日本人にはちょっと理解しがたいものですが、こうした個人崇拝や大衆狂乱の原型は西太后の時代にも見られ、さらには「中国人」や「中国」という概念は、清の時代に確立されたものだそうです。

日本文化の原点は江戸にありというようなものでしょうか?ちなみに、1853年の黒船来航とともに開国を強制された日本も、1862年に江戸幕府の船を上海へ贈っており、鎖国の太平の世を破られ近代国家へと発展していった時期はほほ同じであり、日本が鎖国後はじめて交流した外国、さらにはもっとも関係の深かった国は中国だったと言えます。

西太后の清末期以降の中国と日本の関りを知る事は、現代の日中関係を考える上でも大切な原点なのだとこの本は教えてくれました。


by chinafish | 2007-01-09 08:00 | 中国を読む